90. 久しぶりの入浴
チケットが取れたことを伝えると長女は嬉しそうにしていた。
毎日iPodで大好きなドリカムの曲を聴いてライブの日を楽しみに待っていた。
左手の人差し指しか動かなくなってしまった長女にとって音楽を聴くことが 唯一の楽しみだったのだと思う。
長女は再入院してから一人で立っていることが出来なくなっていたためシャワー🚿を浴びることが出来ず毎日清拭していた。
ある日
看護師さん「のんちゃんお風呂🛁に入りませんか?」提案しくれた。
長女は興味無さそうに音楽を聴いていた。
私「え!?どうやって入るんですか?」
看護師さん「機械でのんちゃんを持ち上げてお風呂🛀に入れるんですよ!ちょっと 遊園地🎡みたいでしょう?」楽しそうにおしえてくれた。
長女は全く興味を示さなかったが、私
「お願いします!」即答した。
お風呂🛀に入れるよう着替えや洗面用具を用意するのが嬉しかった。
20日以上もお風呂に入っていない長女は抜けて少なくなってしまった髪の毛でさえベタついていた。
長女の体には経管栄養の管と導尿の管がついていた。
長女が動く度に全て動かさなければならない。
かつ
痰が自力で出せない長女は吸引のカテーテルも持って入浴した。
ベットごとお風呂場に行き入浴用のストレッチャーに長女を持ち上げて移動して専用の機械で長女を持ち上げて浴槽に入る。
看護師さんは力も技術も必要だと改めて感謝の気持ちでいっぱいだった。
移動の度に頭が少しでも動くと顔をしかめて痛そうにしていた長女。
機械で持ち上がる際は怖そうにしていたが浴槽に入ると気持ち良さそうにしていた。
お湯に浸かってふやけた皮膚から垢がいっぱい出た。
固くなっていた痰がお風呂の湯気で柔らかくなって吸引もしやすそうだった。
浴槽に浸かって体と頭を洗って吸引もしてとても忙しかったがお風呂上がりの長女は久しぶりに石鹸🧼の良い香りがした。
髪の毛も拭くときは沢山抜けてしまったが乾くといつものふわふわの長女の髪の毛に戻った。
本当に大変だったが本当に本当にありがたかった。
長女は唯一僅かに動く左手の人差し指で『もう 出たい!』と合図していた。
それでも私は久しぶりに嬉しい気持ちに包まれていた。
娘がお風呂に入る
元気なら当たり前のことかもしれないが長女にとってはとてもありがたいことだった。

長女を担当して下さった看護師さんが良い友達ができる御守りとプレゼントしてくれた。
91. オーダー車いす
放射線治療が終わって退院しているとき家に訪問看護師さんが来て下さってリハビリの先生も来て下さって長女用の車椅子♿️を作る段取りを始めた矢先に長女
が再入院になった。
通常の車椅子♿️には座っていられない長女
看護師さん「Sちゃんが『もし良かったら 使って下さい』って置いていってくれた 車椅子♿️があるけど、のんちゃん 乗ってみない?」
長女は 嫌そうだったが看護師さんと一緒に抱えて乗せてみた。
Sちゃんは1年生の時に闘病していたので4年生になった長女には少しきつかった。
それでも寄り掛かった姿勢で乗れる車椅子♿️は長女にはありがたかった。
看護師さん「のんちゃんこれに乗って院内学級行けるよ!」
しかし長女は少しでも頭を動かすと痛そうに顔をしかめていた。
常にアイスノンで頭を冷やしている状態だった。
私は 迷っていた。
吸引器を持って具合が悪そうな長女を連れて院内学級に行けるのだろうか?と。
その日の夕方病室に院内学級の先生が来てくれた。
もう指先しか動かない長女に算数を教えてくれた。
先生「のどかちゃん!4年生の教科書ですよ〜算数はこんな事を勉強しますからね〜」
いつもは目を閉じて辛そうにしていた長女が算数の教科書をじっと見つめていた。
私は決心した。
長女が 闘病中に頂いたゾウのぬいぐるみ
『頑張るゾウ』と命名していた
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