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長女のこと 101~104:願いが最優先で叶うということ

101. もう何も奪わないで

長女はもう食べたり飲んだり出来なくなった。
同じ頃 それまで話せていた 小さな小さな声も 出せなくなった。

かろうじて動かせるのは 唯一動かせるのは 麻痺していなかった左手の人差し指だけだった。
私が尋ねると指を動かして返事をしてくれた。
頭が少しでも動くと顔をしかめてとても辛そうにしていた。

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数年後に 大人の脳幹部グリオーマの方の闘病記を見たのですが
頭を常に何かで縛られているような強い痛みがあるそうです。
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辛そうな娘を見ているだけで何も出来ない自分の無力さを痛感した。
最愛の娘がこんなにも頑張っているのに何もできなかった。

毎日 毎日 ただ ただ
もう 娘から何も奪わないで下さい。
そう祈っていた。

それでも娘の容態は 刻々と悪くなっていった。

三女が見つけたひこうき雲

見るたび松任谷由実さんの曲が流れる
🎵空に憧れて空をかけてゆく🎶
小さい頃 CAさんに憧れていた長女と重なります

102. 夢をかなえるために

メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン  について

「メイク・ア・ウィッシュ」とは英語で「ねがいごとをする」という意味のボランティア団体です。
3歳から18歳未満の難病と闘っている子どもたちの夢をかなえ、生きるちからや病気と闘う勇気を持ってもらいたいと願って設立されました。メイク・ア・ウィッシュは独立した非営利のボランティア団体です。

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が長女の発病後 色々調べて 私に教えてくれた。

は、この団体を知るまで
「娘の夢は 親の私たちが叶えればいい!」
と、全く聞く耳を持たなかった。

長女の夢は 三つあった。
・大好きな海 🏖 に行きたい!
・ディズニーに行きたい!
・ドリカムのコンサートに ママと一緒にまた 行きたい!

二つは 叶えてあげることが出来た。

しかしドリカムのコンサートだけはコンサートが開催され、チケットがないと連れて行ってあげられなかった。

私は 夫に「メイク・ア・ウィッシュさんに 連絡して」とお願いした。
娘の夢を叶えてあげるには長女には もうあまり時間が残されていなかった。

メイク・ア・ウィッシュさんからすぐに連絡が来た。

難病の子だけを支援している団体でさえ、
長女の病気「脳幹部グリオーマの方は最優先です」そう言われた。

ショックだった。
それだけ小児脳幹部グリオーマの患者には 時間がないという事だと 改めて痛感させられた。

メイク・ア・ウィッシュさんが娘の為にコンサートチケットを取ってくれた。
関係者のご尽力に心から感謝した。
娘の夢を叶える為に用意して下さったのは 5月20日のライブチケットだった。

約1ヶ月先長女が行けるのか不安でいっぱいだった。

103. 久しぶりの入浴

チケットが取れたことを伝えると長女は嬉しそうにしていた。
毎日iPodで大好きなドリカムの曲を聴いてライブの日を楽しみに待っていた。

左手の人差し指しか動かなくなってしまった長女にとって音楽を聴くことが 唯一の楽しみだったのだと思う。

長女は再入院してから一人で立っていることが出来なくなっていたためシャワー🚿を浴びることが出来ず毎日清拭していた。

ある日
看護師さん「のんちゃんお風呂🛁に入りませんか?」提案しくれた。

長女は興味無さそうに音楽を聴いていた。
「え!?どうやって入るんですか?」
看護師さん「機械でのんちゃんを持ち上げてお風呂🛀に入れるんですよ!ちょっと 遊園地🎡みたいでしょう?」楽しそうにおしえてくれた。

長女は全く興味を示さなかったが、私「お願いします!」即答した。

お風呂🛀に入れるよう着替えや洗面用具を用意するのが嬉しかった。

20日以上もお風呂に入っていない長女は 抜けて少なくなってしまった髪の毛でさえベタついていた。

長女の体には経管栄養の管と導尿の管がついていた。
長女が動く度に全て動かさなければならない。

かつ
痰が自力で出せない長女は吸引のカテーテルも持って入浴した。
ベットごとお風呂場に行き入浴用のストレッチャーに長女を持ち上げて移動して専用の機械で長女を持ち上げて浴槽に入る。

看護師さんは力も技術も必要だと改めて感謝の気持ちでいっぱいだった。

移動の度に頭が少しでも動くと顔をしかめて痛そうにしていた長女
機械で持ち上がる際は怖そうにしていたが浴槽に入ると気持ち良さそうにしていた。

お湯に浸かってふやけた皮膚から垢がいっぱい出た。
固くなっていた痰がお風呂の湯気で柔らかくなって吸引もしやすそうだった。

浴槽に浸かって体と頭を洗って吸引もしてとても忙しかったがお風呂上がりの長女は久しぶりに石鹸🧼の良い香りがした。
髪の毛も拭くときは沢山抜けてしまったが乾くといつものふわふわの長女の髪の毛に戻った。

本当に大変だったが本当に本当にありがたかった。

長女は 唯一僅かに動く左手の人差し指で『もう 出たい!』と合図していた。

それでも私は久しぶりに嬉しい気持ちに包まれていた。

娘がお風呂に入る。元気なら当たり前のことかもしれないが
長女にとってはとてもありがたいことだった。

長女を担当して下さった看護師さんが良い友達ができる御守りとプレゼントしてくれた。

104. オーダー車いす

放射線治療が終わって退院しているとき家に訪問看護師さんが来て下さってリハビリの先生も来て下さって長女用の車椅子♿️を作る段取りを始めた矢先に長女が再入院になった。

通常の車椅子♿️には座っていられない長女

看護師さん「Sちゃんが『もし良かったら 使って下さい』って置いていってくれた 車椅子♿️があるけど、のんちゃん 乗ってみない?

長女は 嫌そうだったが看護師さんと一緒に抱えて乗せてみた。
Sちゃんは1年生の時に闘病していたので 4年生になった長女には少しきつかった。
それでも寄り掛かった姿勢で乗れる車椅子♿️は 長女にはありがたかった。

看護師さん「のんちゃんこれに乗って院内学級行けるよ!

しかし長女は少しでも頭を動かすと痛そうに顔をしかめていた。

常にアイスノンで頭を冷やしている状態だった。
私は 迷っていた。
吸引器を持って具合が悪そうな長女を連れて院内学級に行けるのだろうか?と。

その日の夕方病室に院内学級の先生が来てくれた。

もう指先しか動かない長女に算数を教えてくれた。
先生「のどかちゃん!4年生の教科書ですよ〜算数はこんな事を勉強しますからね〜
いつもは目を閉じて辛そうにしていた長女が算数の教科書をじっと見つめていた。

私は決心した

長女が 闘病中に頂いたゾウのぬいぐるみ
『頑張るゾウ』と命名していた

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