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長女のこと 122~125:生きるということ 感謝

122. 寄り添う

この頃 担当の看護師さんが必ず 私に 声を掛けて下さった。
看護師さん「ご飯 食べれてますか?
寝れてますか?
体調 崩してないですか?
など。私を気遣って下さっていた。

長女のカルテにも きっと『母親が 精神的に 心配。』そう 書いてあったと思う。

でも「大丈夫ですか?」と聞く看護師さんは一人もいなかった。

きっと
母親が 大丈夫なはずがない
そう わかっていたのだと思う。

大丈夫ですか?」そう聞かれたら
私「大丈夫なわけがない!」と 発狂していたと思います。

看護師さんは 皆さん とても親切で 今でも 心から感謝しております。

中でもいつも 長女や 私を気にかけて下さった看護師さんに
私「頑張っている娘『頑張って!』 とは言えないし、『 絶対に治すから!』って 嘘も言えないし。もう なんて声を掛けたら良いか わからないんです…。」
やっと 悩みを言う事が出来た。

看護師さん「そうですよね…。 のんちゃん 頑張ってますもんね。
お母さんが 感じたまま伝えれば 言いたいことを伝えれば 良いと思いますよ。
耳は 最後まで 聞こえるそうですから…。

そう言ってもらえて やっと
「のんちゃん 大好きだよ!
   産まれてきてくれて ありがとう!」
と伝える事が出来た。
長女に伝わったと 信じています。

長女が大好きなピンクのお花🌸

123. 生きるということ(5月24日)

5月24日夕方
院内学級の先生が長女の病室に来て下さった。

先生はいつも通り長女に声を掛け
先生「のどかちゃん!今日は国語の教科書を読むからね〜!
そうおっしゃった。

瞼も動かすことが出来ない長女に聴こえているとは思えなかった。

私「先生 もう娘には聴こえていないと思うので・・・」

先生「でも・・・。読ませて下さい!
先生はそう言って4年生の国語の教科書を読み始めた。

白いぼうし

先生は長女に語りかけるようにゆっくり読んで下さった。

聴いていた私の身体に甘酸っぱい夏みかんの香りが広がった。

読み終えると先生「じゃあ のどかちゃん また来ますね〜

いつものように声を掛けて帰って行かれた。

院内学級の先生や看護師さん達が どうしてあんなに体調が悪い長女に院内学級に行けるようにしたり、先生が病室に来て授業をして下さるのか、やっと理解出来た。

長女の最後の望みは “学校に行ってみんなと一緒に勉強がしたい!” という事だった。
どんなに具合が悪くてもその人の尊厳を尊重して
最期の最期まで長女の気持ちに寄り添うことが大切なのだという事を
私はやっと理解した。

それが生きるという事。

生きるために 一生懸命頑張っている娘のために 私に出来る事が何か やっと理解出来た。

白いぼうし画像をお借り致しました。
長男と次女が白いぼうしを学校で習って音読してくれました。
全身に甘酸っぱい夏みかんの香りが広がり
長女のアルコール消毒のにおいが思い出されました。

124. ラブレター

長女は本を読むことが好きだった。
でも目が見えなくなってから 本が読めなくなってしまった。

院内学級の先生が国語の教科書の
『白いぼうし』
を読んで下さってやっと気付いたのです。

耳からでも本の世界を楽しめる事を。

長女は『最後まで 耳が聞こえている
そう 言われていたので、私は病棟のプレイルームに行き
長女が好きそうな本を借りて長女の耳元で 読み聞かせをした。

女の子が魔女になるための練習をするそんなお話だった気がする。
内容は 全く覚えていないが、長女に届くよう ゆっくり読んだ。

程なく夫が病室に来た。
いつ 長女の呼吸が止まってしまってもおかしくない状態だったので、夫も病室に泊まり、病室から仕事に行っていた。

夫に院内学級の先生の話をした。

夫は「俺 仕事中に聴いてるんだけどね。」
そう言ってある動画を見せてくれた。

生命保険会社のCM動画で 小田和正さんの ♬言葉にできない♫ の曲が流れていた。

画像には 先天性疾患のお子さんの笑顔いっぱいの写真と ご両親と一緒の写真と共に
ご両親の想いが言葉に記され 亡き我が子へのラブレターのように感じた。

♫あなたに会えて 本当によかった  嬉しくて 嬉しくて 言葉にできない♬

それを 夫と一緒に泣きながら見て 私は今まで言葉にできなかった事を
自分の言葉で長女に伝える事がやっと出来た。

産まれてきてくれて  本当にありがとう。
元気な体に 産んであげられなくて ごめんね。
守ってあげれなくて ごめんね。
  のんちゃんに出逢えて 一緒に過ごせて 幸せだよ
。」

長女は また 怒っていたかもしれない。
“謝るな!私は可哀想じゃない!!!”と。

それでも 自分の気持ちを あの時 言葉に出来て 本当によかったと思っている。

新刊が出るのを 楽しみにしていた長女
ぼくらのシリーズは 長男も読んだので 増えています。

125. この闘病に携わった たくさんの人たちへ 感謝します

5月25日
朝から長女の耳元で本の読み聞かせをした。

私「続きは明日読もうね!」長女に声を掛けた。

一日中呼吸が不安定だったが、夜中の吸引に備えて21時半頃寝始めた。

しばらくして長女の モニターの警告音で夫と共に飛び起きた。
22時頃だった。

その日の夜勤は大好きな飯塚看護師さんだった。

いつも一生懸命、長女のことも、私のことも気にかけて下さった。

看護師さん「起こしてしまってすみません。音小さくしていたんですが。のんちゃんのサチュレーションがなかなか上がって来なくて。

何度も吸引して下さっていた。

心拍も下がってきていた。

看護師さん「先生呼んできますね…。

夫も私も覚悟していた。

夜勤の担当の医師が延命治療の確認をした。

夫は「全部外して下さい…。 娘を抱っこしたいので。
そうお願いした。

経管栄養のチューブが取れた長女の顔を久しぶりに見た。

久しぶりに抱っこした長女は両腕に抱えきれないほど大きくなっていた。

赤ちゃんの時にいつも歌っていた子守唄を歌った。

夫と私は「いっぱい頑張ったから ゆっくり休んでね。本当にありがとう。」何度も何度も伝えた。

きっと私たちが娘とお別れする覚悟ができるまで長女は待ってくれたのだと思う。

心から “ありがとう” と言える時まで長女は 頑張ってくれたのだと思う。

呼吸が出来なくなっても、なお 長女は数分後に大きく何度か呼吸していた。

あれは “ありがとう” そう言っていたのかもしれない。

日付けが変わった頃 長女は 私の腕の中で安らかな眠りにつきました。

抱っこしていたので 私は長女がお腹に戻ったような気がした。

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深夜にもかかわらず 駆けつけて下さった主治医の先生や
長女が大好きだった星野看護師さんに 心よりお礼申し上げます。

また S病院🏥の先生方、看護師さん、院内学級の先生方、病院の方々、関わった全ての方々に心より感謝申し上げます。

沢山の素晴らしい方々のおかげで、長女は短い人生でしたが より良い闘病生活を過ごす事ができました。

本当にありがとうございました。
今も感謝の気持ちでいっぱいです。

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