長女のこと 51~52:世界中でだれも治せない

51. 再宣告 世界中でだれも治せない

私は Y医師の話が  納得出来なかった。

私「新聞に載ってた子は抗がん剤が効いて 長期生存してるじゃないですか!
うちの娘だって 効くかもしれないじゃないですか!」怒りが 収まらなかった。
この先生に 諦められたら長女を治してくれる人は いない。
Y医師が ゆっくりと私にわかるように 説明してくれた。

Y医師「あの 新聞に載っていた子は生後11ヶ月で 脳腫瘍が見つかったんです。当時 小さ過ぎて 放射線治療が 受けられなかった。 残された治療が 抗がん剤だけだったんですが、たまたま あのお子さんには 効果があった。
通常 0歳から2歳までと2歳から18歳位までと18歳以上の 大人では 同じ 脳幹部喬グリオーマでも経過は 全く違います。おそらく 成長段階にある子どもと そうでない大人では 脳の状態が違うからだと思います。

大人の場合は 予後は発病から 平均すると 5年位ですが、娘さんのような お子さんだと 平均1年です。残された時間は 大変短いです。
放射線治療後 一度状態が良くなると思いますので、その間に 楽しい思い出を 沢山作って下さい。

優しく わかりやすく 話をしてくれたが、私が 求めていたのは 思い出じゃなく、長女の 未来だった。

Y医師「放射線治療後 一時的に状態が良くなると思いますが 必ず また 癌細胞が増えます。
その時は どうすることも出来ません。抗がん剤を使うかどうかはその時 また 話をしましょう。

納得なんて 出来ない・・・。長女の命を 諦めるなんて 出来ない・・・。
私は 言ってはいけないとわかっていたが我慢なんて出来なかった・・・。
私「もし 先生の 最愛の我が子が  脳幹グリオーマでも その方法をとりますか?
Y医師を 睨みながら 言ってしまったと思う。
Y医師は 悲しそうな顔をしながら
私の子どもが 脳幹グリオーマでも この方法しか 今の医学では 出来ないのです。
脳幹グリオーマのお子さんと ご家族の方には本当に申し訳ないと思っています。
このお話をする時が 医者をしていて一番 辛いです。
治せる病気の専門医になれば 良かったと思うことがありますが
 この病気の専門医も 必要なんです。なので この病気の専門医をしていますが 治せない事を 申し訳なく思っています

その時の Y医師は  医者の顔ではなく、父親の顔をしていた。
隣を見ると 夫が 声を殺して 泣いていた。

夫は 最初に 一人で Y医師を訪ねた時にもう既に 聞かされていたのだと思う。
そして、 色々調べて おおよそ 知っていたのだと思う。
長女の 今後を・・・涙が とめどなく 出てくる。 うまく 喋れなかった。

私「長女は 治らないなら   1%も    治る確率が無いなら せめて 娘が 辛くないように してあげて下さい。」
なんとか   伝えた。

Y医師「残念ですが 死亡率100%の病気です。お嬢さんが 辛くないよう全力を尽くします。

夫と私「よろしくお願いします。」 頭を下げた。

長女に 治療法がない。治療出来ない。
そう言われてもなお、私は 抗がん剤に 一部の望みをかけていた。

52. 長女が毎朝勉強する訳

転院して すぐ脳圧を下げる点滴は錠剤のデカドロンに変わった。量もマックスで飲んでいた。
副作用について
 ●ムーンフェイス
 ●食欲増進
 ●イライラ

イライラについては長女の場合腫瘍の場所から 「病気からくる イライラもある」と言われていたので、4人部屋で 大人しか居ない大部屋でイライラをコントロールすることがとても難しかった。
しかも 内服量が マックスだったので、イライラを抑えきれず 怒りまくる 長女に わかってはいてもイラッとしてしまう事もあり。その度に 自己嫌悪に陥っていました。

長女には 将来の夢があり ご近所で 仲良くさせて頂いていた 一つ歳上の子が中学受験の為に 通塾していたので
長女「4年生になったら 塾に通って中学受験するんだ〜!」と 勝手に思っていたようです。

長女「その為には 勉強しなきゃ!」そう思っていたようで当時 通信教育の教材を受講していたので
元気だった頃の やっていなかった溜まっていた 教材を 持って来てもらい 病室で 必死になって やっていた 長女

右手に麻痺があり字が 思うように書けない ストレスとやりたくないのに やらなきゃ!の焦りで、毎日 毎回 パニックになっていた。
私は 内心“もう やらなくて良いんだよ!”そう思っていたが 言えなかった。
将来がないなんてことは・・・。

そんな 長女が毎日 落ち着いて勉強する時間があった!
それは 毎日の 朝の回診前。マンガを読んでいても時間になると 慌てて勉強していた。。

Y医師と S医師と F医師三人が来てくれると「今日も勉強してる!  いつも偉いね〜」と 毎回 褒めて頂いた。
褒めてもらえて欲しくて 勉強していると思っていたらある日 回診後に
長女は「ママ! F先生って Ⅴ6のあの人に 似てるよね?

私「え? 誰だろう?」
同じ部屋のお姉さん「Ⅴ6の 岡田くんでしょ?」
長女「そう!そう!   (小さい声で)かっこいいよね〜
長女は 8歳11ヶ月でV6の岡田くん似の F先生を 好きになったのです。。。

だからF先生が来る時は 勉強していた!
その後 回診の度に 勉強している 長女に先生方が 声を掛けて下さると、下を向いて はにかみながら返事をする 長女が とても愛おしく そして 本当の恋も 愛も経験出来ないと思うと切ない気持ちで いっぱいだった。

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